今までさんざん、同心のみなさんのことについて書いてきましたが
そもそも彼らのお仕事の内容は、どのようなものだったのでしょう?
今回は、そんな同心のみなさんのお仕事の現場をいくつか紹介しましょう。
■定町廻り同心
これが、時代劇でおなじみの同心のみなさんです。
常に身綺麗にして市中を闊歩パトロールしては
江戸の治安を守る、江戸の娘の憧れの存在でした。
■隠密同心
死して屍、拾うものなし(古いなあ)の隠密同心。
定町廻り同心同様、江戸の治安を守っているのですが
隠密同心の場合、ぐっとシビア度が増しますね。
一般人に扮して秘密裏に捜査を行なう、二重生活な方々。
シブいですなあ…。
隠密同心の方々からすると、十手振りかざして捜査する
定町廻り同心なんて、チャラ男に見えてきますよ。
男は黙って…隠密同心。
■風烈廻り昼夜廻り同心
渋い隠密同心の後に、なんなんですが
これは、特に風の強い日などに市中を見廻る同心の方々です。
これだけ書くと、なんだか町内会の青年団のお仕事のようですね。
微笑ましい…
だが、しかーし!江戸の町にとって「火災」は大いなる脅威。
江戸の町が消滅するような事態も招きかねないので
当時、風の強い日に火事が起きないよう見廻ることは
それはそれは大事なお仕事だったのです。
更に、この同心の方々には「不穏分子を見廻る」という
シビアな業務も任されていました。
これは本当にシビア!
もはや、青年団ではなく公安です。
火災予防と公安活動を、なぜに同じ同心が受け持つのか?
確かに、大火も陰謀も、幕府転覆に繋がりかねない重大なことでは
ありますが…兼任…でいいの?
疑問の消えない、不思議なセクションです。
■火消し人足改め同心
火事といえば「め組」でぃ「い組」でぃ、の火消しの
お兄さんがたの登場ですよね。
江戸の華である、この威勢のいい兄さんがた。
ときおり威勢がよすぎて、火事場で火も消さずに喧嘩を始めたりした場合
これを取り締まるのが、火消し人足改め同心のお仕事です。
今で言えば機動隊的な感じでしょうか?
今と違うのは、血の気の多い兄さんがたが
もう、どうにも手におえなくなった場合は
「切ってよし」
という点ですね。
この同心のみなさん、いざ火事だ!
という場合には、お供の者が持ち歩いている箱をカパン!と開け
中に入っている消防服に着替えて出動します。
ちょいスーパーマンチック。
■市中取締り諸色調べ掛かり
このお仕事は、一言で言うなら、市中の物価の調査監督です。
不当に値が吊り上げられていたりすると、店主を奉行所に呼び出し
説教したりするのです。
いいですなあ。現代にも、いてほしい方々です。
なぜかは不明ですが、お米の値段は北町奉行
魚や青物は南町奉行の担当だったようです。
…と、このように同心のみなさんは、ときに命を張り
ときに庶民に寄り添いながら、実に色々なお仕事に
従事しているのです。
しかし、これらの同心の中で常に懐が潤っていたのは
定町廻り同心のみなさん(町人からの付け届け)くらいなもの。
他の同心のみなさんは、かなりカツカツだったそうです。
同心のみなさんに、現代の我々の姿を重ねてしまふ…。
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