前回、難儀なお奉行こと牢屋奉行の石出帯刀様の
話をしましたが、今回は牢屋にブチ込まれている
罪人に処せられる数々の刑の中から
「これは…ありえない」
と、現代人なら誰もが唸ってしまう、よりすぐりの
「恥刑(笑)」をご紹介しましょう。
■入墨
これはもうお馴染みですね。
時代劇なんかでも、何かの拍子に二の腕の入墨が
見えて
「おめぇさん、遠島帰りだったのか…」
てな具合になったりするアレです。
要するに、前科者に印が付いているというわけで
「更生の可能性を信じ情状を酌量し…」などという
現代の考え方の対極を行くようなものです。
ですが、江戸などは着物で隠れる箇所に入墨するし
腕に沿って輪っかのように線を入れるだけなので
まだ良心的かな…と。
紀州の場合、場所は肘の上あたりですが、思いっきり
「悪」と彫られます。
分かりやすすぎ。
でもこれ、アメリカのヒップホップ系とかも入れてそうですよね。
じゃ、イケてるのか?
クールなのか?
そんなことはともかく…
一番キツいのは、額に彫られるパターンです。
ですが、高野山では坊主のおでこに丸い「●」が彫られていて
なんだかありがたいご面相になってしまっています。
そこへいくと肥前の場合、場所は同じく額でも「×」ですから
情けないことこのうえないです。
しかし、入墨のパターンは数あれど、キツいことで一番有名なのは
「芸州広島」で決まりでしょう、文句ないでしょう。
注:「この桜吹雪を見忘れてかぁ」等の、いなせな兄さん方が
入れているのは「入墨」と言わず「彫り物」と言って区別していたそうです。
■晒し刑
文字通り晒し者にする刑ですが、それで終わりというわけではなく
本来受けるべき刑の前にやる、プレ刑だったようです。
代表的なのは「心中未遂」で、日本橋のたもとに「この人らは心中に
失敗しましたよ(泣)」と書いた立て札を立てて三日間晒された後
身分を落とされる処分を受けたそうです。
晒されて恥ずかしいとはいえ、心中未遂となると、ちょっと色っぽい
感じもあり、絵的にはありかな、と思うのです。
結構キツいのが僧侶の場合。
僧侶が女犯の罪を犯すと、まずは心中未遂のように晒されるわけですが
その後、所属する寺に戻され寺法によって処分されたそうです。
この寺法による処罰というのがすごい。
というか、手元の資料にある解説の図がすごい。
どうしてこんなことになっているのか、どの寺の処分方法なのか
そのへんの説明はなにもないのですが、まずは、そのインパクト
の大きすぎる処罰の図をご覧ください。
…絶句。
魚を咥えているのは「この生臭坊主が!地獄に落ちや!」てな
ことなのでしょうか?
傘を背負っているのは
「傘一本恵んでやるから、とっとと寺から出ていきゃ!」
てなことなのでしょうか?
では、縄は…?
諸々の理由は分からねど、こんな格好で引き回される姿を見たら
「ぜったい女犯だけは犯すまい!!」
と強く心に誓うのでしょう。
…んで、あっちに行っちゃうわけですか。
無理もない、無理もない。
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